塩化ビニール樹脂のディスクが,ポリカーボネート樹脂のディスクになっただけぢゃない。CDには,より簡単に情報となることができる利点がある。だが,それを活かせない無知で無能な人間によって,汚されている。
数年前,レコードを購入すると,それを1度だけかけ,テープに録音した。大事なレコードは本棚にしまい,摩耗から守った。今は,CDを買ったらMP3に変換する。これらは「公正な使用」だが,レコード会社は貪欲さと無知のために,ユーザーが音楽を楽しめないようにしようとしている。私はもうオンラインでのMP3共有を行っていないが,レコード会社がユーザーを犯罪者扱いする限り,ユーザーも取り得る手段すべてで立ち向かわなければならない。
『大人になっても,小さかったときの,レコードを初めて買ってもらったときの記憶はなくならなかった。胸に抱えるほど大きかったLPレコード,存在感のあったジャケット,慎重に針を下ろしたときのジリッというかすかな音,慎重にレコードをひっくり返すときのドキドキ…』。
レコードには,モノとしての重さがあったなと思い返す。いや,CDにも同じ重さはあったんだろうが,音楽の価値を知ることができて,音楽が発展するためのソフトウェアを開発する会社をたたきつぶし,今,音楽を楽しませないようにディスクの中に罠や落とし穴をしかけようとする人たちの,愛のなさによって,すっかりそんなものは消え失せた。音楽は,作り手によってどん底まで虐げられている。失ったものは計り知れず,それを取り戻すのはもう不可能。もう,想い出のディスクは帰ってこない。
|